五月人形の種類
五月人形には、大まかに2つの種類があります。一つは「人形飾りの大将飾り(たいしょうかざり)」であり、もう一つは「甲冑飾り(かっちゅうかざり)」です。これらの違ったスタイルやデザインの中から、お好みの五月人形をお選びいただけます。また、お部屋のスペースやご予算に合わせて、自由にお選びいただけることも大きな特徴です。さまざまな魅力ある五月人形の中から、ぴったりなのを見つけてください。
大将飾り
大将飾りは、お人形を中心にした飾りで一般的には両側に弓太刀(弓と太刀の飾り)を添えて飾ることが多いです。この飾りは、男の子の無事な成長を願い、強く逞しく成長することを象徴しています。大将人形は武具甲冑で身を固めつつも、あどけない表情の少年武者が多く、その可愛らしさからおひな様のように楽しく飾ることができます。
この大将飾りには、有名な武将を模したものや武具の意匠など、さまざまなバリエーションがあります。そのため、飾る空間やイベントに合わせて自由に選ぶことができ、楽しむことができます。最近では、次男や三男の端午の節句の飾りとしても注目を浴びています。お部屋やご家族の好みに合わせて、素敵な大将飾りを選んで、五月人形の華やかな世界を楽しんでください。
大将飾りのPoint
- コンパクトなサイズ:大将飾りは比較的小さなサイズが多く、飾り場所や収納スペースを気にする必要がありません。そのコンパクトさが、場所を選ばずに楽しめる利点となっています。
- 簡単な飾り付けと片付け:大将飾りの飾り付けや片付けはとても簡単です。軽量な人形や小物が多いため、手軽に配置を変えたり収納したりすることができます。
- インテリアに馴染むデザイン:お人形なので、大将飾りはお部屋の雰囲気に合わせやすいです。さまざまなスタイルやデザインがあるため、お部屋のインテリアと調和させることができます。
- 可愛らしい雰囲気:一方で、比較的小さめなサイズの傾向があり、豪華さには少し欠けるかもしれません。しかし、その可愛らしい雰囲気が魅力であり、家族やお子さんと共に楽しむことができます。
これらのポイントを踏まえて、大将飾りを選ぶ際には、自宅のスペースや家族の好みに合った素敵な一体を見つけることが大切です。節句の季節やお祝いのイベントで、愛らしい大将飾りと共に素敵なひとときをお楽しみください。
甲冑飾り
甲冑飾りは、昔から生命を守る象徴として重要視されてきました。かつて武家の屋敷では、屋敷の外に甲冑を身にまとった人形を飾る風習がありました。しかし、庶民の多くは本物の武具を持つことができず、代わりに厚紙などを使って武者の人形を手作りして飾っていたと言われています。
現代では、武士の時代が終わった今でも、甲冑飾りは戦いの道具ではなく、むしろ赤ちゃんや子供たちを事故や病気から護ってくれるような願いを込めて飾る習慣が残っています。命の尊さや家族の安全を祈る気持ちが込められているのです。
甲冑飾りは、伝統的な要素を持ちながらも、現代の家庭にもしっかりと馴染むデザインが多く見られます。家の中に飾ることで、家族の健康と幸福を願いながら、豊かな節句の季節を迎えることができるでしょう。ぜひ、その意味を胸に、心温まる甲冑飾りをお選びください。
甲冑飾りのPoint
- かっこいいデザイン:甲冑飾りはその風格と迫力あるデザインから、とにかくかっこいい印象があります。武士の勇ましい姿が立体的に表現され、見る人を引き込む魅力があります。
- 精巧な作りと美しさ:甲冑飾りは細部まで精巧に作られており、その美しさは見る人を感動させます。手の込んだ彫刻や装飾が施されていることが多く、品質の高さが感じられます。
- 豪華な見栄え:大きなサイズの甲冑飾りは、豪華に飾ることができます。特に節句の季節には、広いスペースに飾ることで迫力ある演出が可能です。
- スペースの必要性:一方で、大きな甲冑飾りは飾るスペースや収納スペースに注意が必要です。飾る前に、家の中で適切な場所を確保することが大切です。
- 子供の心配:甲冑飾りには顔当て(面頬)が付いている場合があります。そのため、子供が怖がることがあるかもしれません。子供が安心して楽しめるような配慮が必要です。
これらのポイントを考慮しながら、お好みや飾る場所に合った甲冑飾りを選ぶことで、より素晴らしい節句のお祝いができることでしょう。家族やご自宅の雰囲気に合わせて、楽しい飾り付けをお楽しみください。
その他のお人形
五月人形には、大将飾りや甲冑飾りといった主役の他にも、両脇を飾る魔除けやお守り的な役割のお人形が存在します。
これらのお人形は、五月人形飾りの構成を引き立たせる重要な役割を果たしています。一般的に、大将飾りや甲冑飾りの両脇に配置されることが多いですが、配置の仕方や飾る人々の好みによって異なる配置もあります。
魔除けのお人形は、古くから厄災や邪気を祓う役割が期待され、家族の健康と幸福を守る意味合いが込められています。また、お守り的なお人形は、家族や子供たちの無事と幸福を祈る願いを込めて飾られます。
これらのお人形は、大将飾りや甲冑飾りと同じく、精巧な作りや美しい装飾が特徴的です。五月人形の祝祭的な雰囲気を一層豊かに演出する役割を果たし、節句の季節をより楽しいものにしてくれます。
家族の願いや祈りが込められたその他のお人形と共に、心温まる五月人形の飾り付けをお楽しみください。大切な日を家族で共有する喜びと幸せが、家にあふれることでしょう。
武者人形(むしゃにんぎょう)
武者人形とは、江戸時代に鎧兜飾りから独立して発展した、勇ましい人形であり、健やかな成長を祈念するために飾られます。これらの人形は、伝説的な英雄や物語の主人公をモチーフにしており、男の子たちの将来の成長を願う意味が込められています。一般的に、人形(ひとがた)の五月人形全般を武者人形と呼ぶことがあります。
武者人形には、様々な種類が存在します。鍾馗(しょうき)などの魔除けの神々を模した鍾馗人形や、金太郎などの童人形(わらべにんぎょう)など、歴史上や伝説上の英雄や豪傑たちがモデルになっています。また、飾り馬なども武者人形の一部であり、多様なバリエーションが存在します。
武者人形はその勇ましい姿と物語性から、子供たちや家族によく愛されています。節句の季節に飾ることで、家族の健康や成長を祈る気持ちを表現し、お祝いの雰囲気を一層盛り上げる役割を果たしています。自宅のスペースや家族の好みに合わせて、素敵な武者人形を選んで、五月人形の華やかな世界を楽しんでください。
鍾馗人形(しょうきにんぎょう)
鍾馗人形は、五月の節句に魔よけとして飾られる人形です。その由来は、唐の玄宗皇帝が病に臥している時に、夢の中に現れ、悪鬼を退治してくれた豪傑・鍾馗に起源があります。皇帝が夢から覚めると、病気はすっかり治っていたため、喜んだ皇帝は画家に命じて夢に見た鍾馗の姿を描かせたと言われています。
鍾馗は努力家で頭もよく、優しい性格だったため、疱瘡除けや学業成就に効果があると信じられています。特に関東地方では五月人形として、近畿地方では魔除けとして、鍾馗像を屋根に置く風習が見られるようです。
現代では、鍾馗人形は優しく愛らしい子どもの顔をした人形が一般的に人気となっていますが、魔除けや厄除けといった端午の節句の本来の意味を反映した姿でも知られています。昭和30年代頃までは、武者人形の代表的存在として重要視されていました。
五月の節句には、家族の健康や無病息災を祈るために鍾馗人形を飾り付けることで、家に幸福と安らぎをもたらすとされています。鍾馗人形の豊かな歴史と意味を胸に、素敵な五月人形の飾り付けを楽しんでください。
童人形(わらべにんぎょう)
童人形(わらべにんぎょう)は、五月の節句に魔よけとして飾られる人形です。鍾馗人形とは異なり、童人形の由来は唐の玄宗皇帝の夢とは関係なく、独自の背景を持っています。
童人形は、子供たちの健康と成長を願う意味が込められています。その優しい顔や愛らしい姿は、家族の幸せを象徴する存在として重要視されてきました。子供たちの無病息災や学業成就、幸福な未来を願う願いが込められているとされています。
特に関東地方では五月人形として、近畿地方では魔よけの意味合いで童人形を飾る風習が見られるようです。童人形が節句の時期に飾られることで、家庭に幸運と喜びをもたらすと信じられています。
現代では、童人形も優しく愛らしい子どもの姿が主流となっており、子供たちの成長を見守る象徴として親しまれています。昔からの魔よけや厄除けの意味合いから、節句のお祝いの時期に大切な場所に飾り付けることで、家族の絆と幸福を願いたいという思いが込められています。
飾り馬(かざりうま)
飾り馬(かざりうま)は、古来から勇ましく跳ねる馬の性質から、男の子の出生を象徴するものとして捉えられてきました。端午の節句の浮世絵や様々な図絵を見ると、必ず節句の飾りに欠かせない存在として描かれてきました。
戦国時代では、馬は一握りの力と高い地位を持っていた将たちしか所有することができませんでした。そこから、馬を飾りとして節句や結婚祝い、栄進や昇進祝いなどに用いるようになりました。飾り馬は、「男の子が立派な馬を持ち、一軍の将のようになるように」「元気で健やかに夢をかなえられる男性に成長するように」という願いを込めて飾られています。
飾り馬は、男の子の成長と成功を祈る意味合いがあり、家族や親族が大切にしてきた節句の飾りの一つです。節句の時期や特別なお祝いの場に、飾り馬を飾ることで、家族の幸福や健康を願いながら、素敵なひとときを楽しむことができるでしょう。
五月人形 飾り方の特徴
五月人形には、一般的に親王飾り・収納飾り・ケース飾り・多段飾りの4つの種類が存在します。それぞれの飾り方には独自の特徴がありますので、家庭に合った雛人形を選ぶ際には、それぞれの特長を理解することが大切です。
ご家庭のスペースや飾りたい場所の条件、そしてお好みに合わせて、どの飾り方が一番適しているかを見極めることで、五月人形をより素敵に飾り付けることができるでしょう。家族とともに楽しい節句の季節を迎えるために、飾り方の選択をお手伝いいたします。
平飾り(ひらかざり)
平飾り(ひらかざり)は、一段のみの飾り台や毛氈(フェルト素材で赤い色のものが多い)などを使って、直接的に飾り付ける方法を指します。鎧兜飾りや武者人形を含む五月人形の中で、最も一般的な飾り方とされています。
「平飾り」と一言で言っても、飾り台が床に直接置かれる一般的なタイプや、飾りを収納できる収納飾りなど、さまざまなバリエーションがあります。どのスタイルも美しさを引き立てる工夫が施されています。
平飾りの代表的な飾り物として、屏風や弓太刀(弓と太刀の飾り)があります。これらの飾り物は、日本の伝統的な文化や戦の武勇を象徴するものであり、節句の季節に家庭を華やかに飾り立てる重要な要素となります。
家庭のスペースや好みに応じて、平飾りの中からお気に入りのスタイルを選び、五月人形の飾り付けを楽しんでください。豪華で格式高い平飾りが、節句の時期に素晴らしい雰囲気を演出してくれることでしょう。
段飾り(だんかざり)
段飾り(だんかざり)は、主に三段で構成された豪華な飾り台で、五月人形の中でも最も華美で豪勢な飾り方ですが、非常に大型で設置場所を選びます。
段飾りには、五月人形の他に下記のような飾り物が飾られます。
【上段】
五月人形:大将飾りや甲冑飾りなどの主要な人形が配置されます。
櫃(ひつ):着物や小物を収納するための箱です。
弓太刀(ゆみたち):弓と太刀の飾りがあります。
篝火(かがりび):篝火のミニチュアが灯されます。
【中段】
陣笠(じんがさ):武士がかぶる笠のような装飾品です。
陣太鼓(じんだいこ):武士の行進で使われる太鼓が飾られます。
軍扇(ぐんせん):武士が持つ扇子のような飾りがあります。
【下段】
吹流し:風になびく吹き流しの装飾が飾られます。
粽(ちまき):ちまきのミニチュアが飾られます。
瓶子(へいし)・八足台(はっそくだい):花瓶と八足台の組み合わせがあります。
柏餅(かしわもち):柏餅のミニチュアが飾られます。
鯉のぼり:鯉のぼりのミニチュアが泳ぎます。
八足台の代わりに三方台(さんぽうだい)を飾るなど、五月人形によって違いが見られます。段飾りは、見応えがあり、格式高い節句の雰囲気を演出することができますが、その大きさには注意が必要です。自宅のスペースに合わせて段飾りを選び、五月の節句を華やかに飾り付けましょう。
着用飾り(ちゃくようかざり)
着用飾り(ちゃくようかざり)は、実際に甲冑を着用できる本格的な五月人形です。通常の五月人形として楽しむことができる初節句の時期には、主に三歳、五歳、七歳の時に着用できるように作られています。成長に合わせて、子どもの勇ましい姿を記念撮影することができるため、非常に人気があります。
着用飾りは、平飾りが中心ですが、中には三段飾りやケース飾りのものも存在します。平飾りの場合、甲冑をまとった立派な姿が直接見えるようになっており、迫力ある雰囲気が楽しめます。一方、三段飾りやケース飾りの着用飾りは、より豪華な演出ができることが特徴です。
着用飾りは子どもの成長を祝福し、特別な記念として家族や親族が喜びを共有する大切な要素となります。初節句の喜びとともに、立派な甲冑姿を身にまとった子どもの姿は、家族にとって宝物の一つとなることでしょう。節句の季節には、着用飾りで特別なひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。
収納飾り(しゅうのうかざり)
収納飾り(しゅうのうかざり)は、飾る台に収納スペースが備えられた五月人形の飾り方で、住宅事情の変化に合わせて人気を集めています。飾る台には一般的に高さがあり、この形態は高床式平飾りに分類されます。収納スペースの関係で、台下に全ての飾り部分を収めることができるため、同じサイズの五月人形と比較して、収納スペースを効果的に使うことができる特長があります。
収納飾りは、収納スペースを活用することで、飾り終わった後や節句の時期以外にも、コンパクトに収納することが可能です。特に都市部やスペースに制約のある家庭において、収納スペースの有効活用は大変重要です。収納飾りの高床式平飾りは、スマートに飾り付けを楽しむことができるでしょう。
家庭のスペースに合わせて、収納飾りを選ぶことで、五月人形を飾る楽しみを存分に味わいつつ、収納の手間を軽減することができます。大切な五月の節句を家族と共にお祝いする際に、収納飾りの便利な特徴を活かして、美しい飾り付けを楽しんでください。
ケース飾り(けーすかざり)
ケース飾り(けーすかざり)は、ガラスやアクリルのケースに五月人形がセットされている飾り方です。埃の影響を受けにくく、飾り付けが簡単でメンテナンスがしやすいことから、最も便利な五月人形の飾り方として知られています。ケースの中に飾られるため、五月人形を美しく保ちながら、長期間飾ることができるのが特長です。
ケース飾りは、兜飾りや武者人形をはじめ、小柄の鎧飾りや実際に着用できる兜飾りなど、さまざまなタイプの五月人形があります。ケースの中で一つのシーンを表現するようなデザインも魅力的で、五月人形の姿を立体的に楽しむことができます。
埃や湿気を気にせず、美しい状態を長く保ちたい方や、手軽に飾り付けたい方にとっては、ケース飾りは理想的な選択となるでしょう。五月の節句の季節だけでなく、一年を通して飾り続けることができるので、特別なお祝いや記念日にもぴったりです。家族の思い出を大切に残しつつ、美しい五月人形をケース飾りで飾り付けてみてください。